エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))
エーリッヒ・ケストナー作
子供時代以来、久しぶりに読みました。
読んでいて、とってもしあわせな気持ちになるお話です^^
子どもたちの冒険にわくわくして、
幸せな結末に大満足^^!
なんだけど、
この本には、ストーリーのなかに
子ども時代の経験や感情、
家族への想い、
友達との会話と信頼、
大人への思いと期待、
たくさんの大事なことが
いろんな会話や文のなかに
ちりばめられています。
そのひとつひとつが、本当にありがたく、いとおしい^^
たとえば、家族への想い。
「おかあさんが一生のあいだ、疲れを知らず、
じぶんのためにしてくれたことにたいし、
彼は、じぶんなりに少しでもむくいることができたのを、
誇りにしました。」
たとえば、友達との出会い。
「ふたりは握手をし、たがいに、すっかり好きになりました。」
たとえば、
お金をあげるというお祖母さんの言葉を、かたくなに拒むこと。
そのお金を努力してつくるお母さんと、
そのお金をもらうおばあさんの暮らしを想うこと。
「いやです、いただきたくないんです」
「はやく、お金をかくしてしまいなさい!」
おばさんが言って、エーミールのポケットに札を押し込みました。
「ええ、どうしてもそうしろというんなら」と 彼は泣き声を出しました。
「どうもありがとう、おばあさん」
「わたしこそ、ありがとうだよ。わたしこそ、ありがとうだよ。」
と おばあさんは答え、エーミールの髪をなでました。
たとえば、
友達と自分との、家の暮らし向きの違いを感じながらの会話。
共通項がみつからないけれど、
だけれど、家族への想いをしっかり互いに感じあえること。
「ぼくにはよくわかるよ。」
たとえば、
自分がひきうけた責任をつらぬく意志。
それをあたりまえのこととして、素直に誠実に、頑張る気持ち。
責任を貫く、というのは
自分のことを大事にしている、ということでもあります。
自分の言ったことを嘘にしない、とか
引き受けたことをしっかりやる、というのは
自分の誇りを尊ぶことだなあと、
その姿がとても羨ましく、あこがれます。
そしてたとえば、
ともだちが善意でしてくれていることに、
きちんと報いること。
エーミールたち、子どもたちの姿に
しっかり自分の想いと考えを持って行動し、
誰かを想い、そしてまた
自分も誰かに想われていることをよく分かって
自立しようとする「子ども」の姿を
見せてもらいました。
でもそれはきっと、
そういう心を育ててくれる
大切な人があってこそ。
だからやっぱり
一番好きなセリフは、
「いいえ、欠点なんてものは、ほんとはありません、
うちのエーミールには」
お母さんの、この言葉^^